Fashion history+Gothic.

2014/9/11 更新

Gothic fashion.

ゴシックファッションの基礎知識。

†ゴシックファッションとは

GOTHIC(ゴシック)またはGOTH(ゴス)という言葉のルーツを探ると、紀元前400年頃のドイツにたどり着きます。

VISIGOTHS《Western Goths》(西ゴート族)という名の部族のことを指す言葉で、教養がなく美的センスに欠ける者達、野蛮人としてその名は知られていました。

ゴシックという言葉が有名になったのは、ルネサンス15〜16世紀のヨーロッパのことです。
ローマ・ギリシャ文化が理想とされていた当時のヨーロッパで、中世の建築、美術は非常に評価が低く、暗黒時代と言われていました。その中で、イタリアの美術家達に「ゴート人の」や「ゴート風の」という蔑みの言葉として使われ、「ゴシック建築・美術」と呼ばれるようになったのです。

有名なものでは、パリのノートルダム大聖堂などがゴシック様式にあたります。尖塔や高い柱で支えられたアーチ状の骨組みと、大きくとった明り取り(ステンドグラス)などが特徴的で、全体のバランスやモチーフの美しさから現在では非常に人気があり、評価も高いものです。

身近な物としては、フォントでもよく目にする「ゴシック体」(BlackLetter)がこの頃の書体なのです。

その後も中世の文化には低い評価がなされてきましたが、18世紀から19世紀にかけてロココ様式など、古典主義に対する反動から中世の文化への関心が高まり、再評価がされるようになったのです。
また、ゴシック建築を舞台とした小説が出版されるようになり、人々の間で中世文化が流行していきます。

ゴシック文化にインスパイアされた作品としては「串刺し公」ことヴラド・ツェペシュをモデルとしたブラム・ストーカーの怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」、人造人間をテーマとしたメアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」などがあり、皆様のよく知るホラーなどは、ゴシック文化を基にしたものが多いのです。

そして、ゴシックの頽廃的な耽美世界は様々なジャンルに派生し進化してゆきます。

ゴシック小説・文化を題材とした怪奇映画が作られるようになると、今まで目にすることの無かった中世の衣装や建物を見て楽しめるようになり、古くは白黒の無声映画からハリウッドの最新映画まで、その退廃的な美の世界に多くの人々が魅了されています。

さらにゴシックは音楽シーンで大きくそのイメージを変貌させていったのです。

バウハウスなどに象徴されるゴシックの暗い闇に惹かれ、趣向を極めたバンドが現れ始めます。
瞬く間に狂信的な人気を得、彼らは攻撃的なロック・ヘヴィメタルとゴシックのイメージを併せ「ゴシック・ロック」「ゴシック・メタル」などの新しいジャンルを生み出しました。

メタルに象徴されるデスヴォイスやシャウトを取り入れたダークで攻撃的な曲調と、幻想的で悲しげなヴォーカルで聴かせるメロディアスな曲調などが生まれました。

イギリスから派生したゴシックミュージックはヨーロッパ・アメリカなどで独自の変貌を遂げ、人気を集めていくのです。

これらのゴシックバンドやゴシックを好む人たちはヴィジュアル面でも大いに注目を集め、ファッションの分野にも多大な影響を与えました。
ゴシックファッションは、その名の通りゴシック文化からインスパイアされたファッションで、漆黒の髪に病人を連想させる白塗りや、眼の陰を強調するような濃い黒のアイシャドーなどが特徴的なメイクをし、中世の貴族のようなドレス、または黒を基調としたファッションに、ボンデージやコルセットを取り入れた過激なものから大量のシルバーアクセサリーをつけたもの、編み上げの厚底ブーツにレザーやビニール、エナメルのアイテム、引き裂かれたような過激なものや退廃的なものが好まれています。

このように元来部族の蔑称であったゴシックは、ある種の運命的な道を辿り、今ではダークサイドを愛する人々にとって共通のキーワードへ姿を変えました。

自分を主張する手段としてゴシックファッションを用いる人や、ゴシック思想に共感できなくてもゴシック音楽は聞くという人、ゴシック音楽を聞いてもゴシックファッションはしないという人など、ファッションや音楽・文化においても思想においてもジャンルが多様化しているゴシックですが、何を本来のゴシックとするかという定義が難しくなっており、一部の過激な活動などであらゆる誤解や弊害が生じているのも確かだといえます。

†ゴシックファッションの特徴

原宿などでよく見る黒い服装の女の子達がそういえると思いますが、彼女達はかなりライトな部類に入ると思います。
真っ白なゴシックファッションや男性のゴシックファンションの方も居ますが、日本では少数派だと思います。

ゴシックファッションはドイツで発祥し、ゴシック・メタル等の音楽から生まれたサブカルチャーです。日本ではV系バンドのファン層が多く、その嗜好もゴシックファッションに反映されているのではないでしょうか?

黒いアイメイクに黒い服装で固めた影のあるスタイルであり、ヴィクトリアン調のドレッシーなもの(ヴィクトリアンゴシック)や日本ではV系や男性のファッションスタイルの変化(化粧・着飾る)により一部では中性的なイメージのスタイルが好まれる傾向があるそうです。

また、モードなシルエットのものや変形させたものも多く、その二つが融合したデザインを出しているブランドもあります。
蝙蝠・十字架・コフィン(棺桶)などのモチーフが描かれたものが特徴的です。

因みに本場のゴシックスタイルは日本とはまた違った雰囲気であり、肌を覆う服装がゴシック的であるというイメージの日本に対し、フェティッシュ系でなくても露出的なイメージのゴシックファッションが多いのです。

また、日本のようにゴシックロリータではないけれど、少女的な雰囲気を持つゴシックファッション、というのは本場では少ないのです。

そもそも、日本以外の国では、普通の服でもよく見られるピンク色の服やレースやリボンなど、そういった子供服的特長のある服を着る文化自体が少ないのです。なので、そういった文化を理解し難く悪いイメージを抱いている海外のゴシックファッション愛好家にとって、ゴシックロリータファッションは邪道とも取られているそうなのです。

†日本でのゴシック

日本でのゴシックファッションを取り上げると、必ずついてくるのが「GothLoli」(ゴスロリ)ではないでしょうか?正式名を「Gothic&Lolita」(ゴシックアンドロリータ)ファッションといいます。

メイド・イン・ジャパンの新たなカルチャーとして知られており、日本ではゴシックファッションよりもコチラのほうが有名かもしれませんね。

フランスロココ調などのクラシカルなドレスを着る「Lolita Fashion」(ロリータ・ファッション)と、ゴシック文化の両方から派生したスタイルで、基本はロリータファッションをベースとし、ゴシック特有のモチーフを配したファッションが主流となっています。

メイクはアイシャドーやチークの色などゴシックの影響が強いようですが、少女的な部分も取り入れられ、ゴシック特有の悪魔的な部分は受け継いでいないことが多いようです。ロリータともゴシックとも違う確立されたファッションということになっていますが、明確な区別が付かない人も多く、ゴシックはゴスロリであるとか、ゴスロリはロリータである、などと混同されがちになっています。

他にも、より過激なテイストの「Grotesque Lolita」(グロテスク・ロリータ)やゴシックとパンクカルチャーを取り入れた「Gothic punk」(ゴシック・パンク)に、パンクとロリータを融合させた「Punk Lolita」(パンクロリータ)など、かなり広いジャンル分けがされていることが、スタイル的にも思想的にもより複雑にしているようです。

ゴシックの発信地は欧米ですので、欧米に合うように考えられ、欧米での発展を続けているのです。

もちろん日本でもゴシックファッションに共感し、自分のスタイルとして取り入れている人は数多く、その情熱から「ゴスロリ」という新たなジャンルをも生み出すまでに至ったのです。そして、逆輸出という形でゴスロリ文化を世界のファッションへと広げました。

しかし、その中でゴシックの起源を知り、歴史・思想を理解している方はどの位いるのでしょうか?
単にゴシックファッションといっても千差万別です。数多くのジャンルの一方だけに居ては、その本質を知ることは不可能です。

ゴシックファッションはカウンター・カルチャー(反抗文化)としての側面が強く、アンチクライスト(反宗教)などとも密接に関係しているのです。

文化は生まれたときから肌に染み付いているもので、地理的にももちろん、風土・文化の違い、そういった面でキリスト教に慣れ親しんでいない日本に居ることは、ゴシックの本質的な部分を理解する上で不利なのだそうです。

ゴシック音楽を聞くならば歌詞をよく読んでみること、ファッションをするならばブランドのコンセプトやアイテムの歴史を調べてみたり、ゴシックイベントに出かけたり、ゴシック文学を読むのも良いことだと思いますし、実際にヨーロッパの古城を訪ねてみるのも良いと思います。

新たな体験や本物の大気に触れることで視野が広がると思います。

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